初骨董 大江戸

Ubu.3 瀬戸大徳利


因果な物をもらってきてしまった。
こんなにでかい徳利を肩に担いですでに2,30分たつが、もう四十肩が悲鳴をあげておる。
知らぬふりして家にもち帰ったとしても、六畳一間の我が家に置き場などなく、
知らぬふりしてすでに妻の履くことのなさそうな靴が散乱している玄関に置いたとしても
朝六時から、妻の「なんなのこの壺は」という絶叫に起こされ、「壺ではないよ。徳利だよ」
などと話してみたところで、その後のことは目に見えておる。
道の野花を集めて活けたところで花うつりの悪さは、美意識の薄い私でも想像がつく。
それではと酒を蓄めて晩酌でも洒落こもうとしても、私は酒に関しては全くの下戸。
それと私が赤児のとき別れた私の名の知らぬ父は、アルコール依存症で身をおとした男である。
今は千葉の名の知らぬ寺で無縁仏になったと聞いている。
このままこの徳利をもって帰ったとしても、妻の悲鳴が耳に鳴る今、私としては「うーん」と考えた挙句
そうだ、その名の知れぬ父が眠る名の知らぬ寺に、その徳利に酒を蓄めて奉納することで、
「彼の現世での仕業を赦してやってくれ。」と参ることとしよう。
なんて私は親孝行な息子なんだ。それで彼も浮かばれよう。
妻に叱られることもない。
何より私が真の親孝行であると自覚できる。これは私にしてみれば史上最大のビックアイデアだ。
そして少しさびた自分の体を軽くひねり、今来た道を逆方向に少しはにかんで彼の眠る名の知らぬ寺
に向かった。
―店主―

瀬戸大徳利 江戸中期 箱あり 高43×幅24,5cm
有難うございました



[2009.12.07 Monday 13:20] [販売中の商品]

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