初骨董 大江戸

Ubu.5 北蓮蔵 



この10年私はといえば、毎日山手線のように東京近郊をぐるぐる回っていた。
投げ無しの30万で買った貨物に乗り込み、「ヤマノテ」「ヤマノテ」と呪文を唱えながら回るもんだから、下町といわれるスラム街には目もくれず、山手線で云うところの左半分ばかり走るもので、しまいには体が左側に傾き、首まで左に曲がってしまう始末、昼間からよだれ眼ヤニなどを左方から垂れ流している。
最近では左耳から変な汁が流れ出し、人として末期的状態である。
これではいかんと思い、これからは「中国だ。亜細亜だ。」と20年前に聞いたようなフレーズを叫び、
明治通りにある格安アジアツアーの旅券を大人買いして旅人になった。
これで私も「ヤマノテ」の呪縛から解き放たれ、一人前の壮年になることができよう。頑張れば救われるのである。やっと安心できたのでエコノミーで前かがみになった姿勢を矯正した瞬間、左耳からまた汁が出てきた。
それを嗅ぎつけた蠅が、私の頭を山手線のように何度も周回して左耳に止まり
「もう腐っておる。」とつぶやいた。
北蓮蔵 外国風景 油彩 25F
有難うございました

[2010.01.30 Saturday 14:59] [販売中の商品]

このページの先頭へ