初骨董 大江戸

Ubu.9 黄瀬戸 狗犬



この商売を始めて民藝というものを知った。それまでこの国は、哲学というものを持たぬ国と思っていた。中国哲学であるとか西洋哲学を、少し生真面目な者は学生時代に学び、いつしかそれも英語が話せぬように日常に埋没して逝った。元々民藝などに縁も所縁もない私から見ていると、どうも民藝家というよりは唯の民芸好きのコレクターばかりで、やれ味っぽい木仏だとか捻くれた徳利を舐め擦っている様は隠居爺のようである。実に哀れなことである。希有な民藝を所有することばかりに終始し、後生大事に抱え込んでいる。実に馬鹿馬鹿しいことである。私は何も持たずに育ってきた。そんな者がそれでも傍に置いてそれを灯りに進んで行くことができるのが「古物のチカラ」なのだから、これからの時代を生き抜くヒントがそこにある。つまり数の問題ではない。この十年この商売を通して、嘗ての上流階級といわれた方々の子孫達と逢ってきた。この国にはもう御大尽といわれる方々はいないのである。だからこそせめて古民藝商人ぐらいは太鼓持ち根性など捨てて、貧なるこの時代を心豊かに生きる術を伝えることのできる商人でいただけたら、買い出し屋冥利に尽きるというものだ。ツメ五本とはいかないまでも、このだらけた崖を登り切るにはツメ二本ぐらいは持ち合わせている獅子でなくてはならない。



黄瀬戸 狗犬 江戸中期 彫銘 高20cm
有難うございました

[2010.07.02 Friday 15:34] [販売中の商品]

このページの先頭へ